1. 犬の引っ越し手続き
犬は「狂犬病予防法」により、自治体への登録が義務づけられています。引っ越しの際は、旧住所での手続きと新住所での届出の両方が必要です。
同じ市区町村内で引っ越す場合
転居届を出せば犬の登録住所も自動的に変更される自治体が多いですが、念のため担当窓口に確認しましょう。自動で変更されない場合は、変更届の提出が必要です。
別の市区町村へ引っ越す場合
新しい市区町村の窓口で犬の登録変更届を提出します。届出には以下が必要です。
- 鑑札(旧市区町村で交付されたもの)
- 狂犬病予防注射済証(最新のもの)
- 飼い主の本人確認書類
届出の期限
引っ越し後30日以内に届出が必要です。届出を怠ると、狂犬病予防法により20万円以下の罰金が科される可能性があります。
マイクロチップ登録の変更
2022年6月以降にペットショップ等から購入した犬にはマイクロチップの装着が義務化されています。引っ越しで住所が変わった場合、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトで登録情報の変更届出が必要です。オンラインで手続きできます。
- 鑑札と狂犬病予防注射済証を準備
- 新住所の自治体で犬の登録変更届を提出(30日以内)
- マイクロチップの登録情報を変更
- かかりつけ動物病院を新居近くで探す
- 狂犬病予防注射の時期を確認
2. 猫の引っ越し手続き
猫は犬と違い、自治体への登録義務はありません。そのため、役所での届出手続きは基本的に不要です。
マイクロチップ登録の変更
マイクロチップを装着している猫は、犬と同様に環境省のサイトで登録住所の変更が必要です。2022年6月以降にペットショップ等から購入した猫は装着が義務化されています。
猫の引っ越しで特に注意すること
猫は環境の変化に非常に敏感な動物です。犬以上にストレスを感じやすく、引っ越し後に体調を崩すケースも多いため、以下の点に注意しましょう。
- 新居では1部屋からスタートし、徐々に行動範囲を広げる
- 使い慣れたトイレ砂や毛布を持っていく(自分のにおいで安心する)
- 引っ越し当日は脱走防止を徹底する(ドアの開閉に注意)
- 食欲低下や隠れる行動は一時的なもの。無理に引き出さない
3. 小動物・その他のペット
ハムスター、うさぎ、鳥、爬虫類、魚類などの小動物は、基本的に自治体への届出は不要です。ただし、移動時の環境管理が重要になります。
| ペットの種類 | 届出 | 移動時の注意点 |
|---|---|---|
| ハムスター・うさぎ | 不要 | 温度管理が重要。直射日光・エアコン直風を避ける |
| 鳥類 | 不要 | ケージにカバーをかけて暗くすると落ち着く |
| 爬虫類 | 種類による※ | 温度変化に注意。保温対策を万全に |
| 熱帯魚・金魚 | 不要 | 水温維持が最重要。短距離なら袋詰め、長距離は専門業者に依頼 |
※ 爬虫類の一部は「特定動物」に指定されており、届出が必要です(次の章で解説)。
熱帯魚・金魚の引っ越し
魚類の引っ越しは特に難易度が高いです。水質と水温の変化が致命的になることがあるため、以下の手順で進めましょう。
- 飼育水を半分以上ポリタンクで持っていく
- 魚は酸素入りのビニール袋か、電池式エアポンプ付きの容器に入れる
- 水槽のフィルターは飼育水で湿らせた状態で運ぶ(バクテリアを守る)
- 新居では水合わせを慎重に行う(温度・水質を30分以上かけて合わせる)
4. 特定動物・特定外来生物
ワニ、毒蛇、大型のトカゲなど「動物の愛護及び管理に関する法律」で特定動物に指定されている動物を飼育している場合は、引っ越し時に手続きが必要です。
必要な手続き
- 旧住所の都道府県知事に飼養保管許可の変更届出
- 新住所の都道府県知事に新規の飼養保管許可申請
- 飼養施設の基準を満たすことの確認
特定外来生物
カミツキガメやアライグマなど「外来生物法」で指定されている生物も、飼養許可と住所変更届が必要です。環境省の地方環境事務所に届け出ます。
5. ペットの移動方法
引っ越しの距離や移動手段によって、ペットの運び方も変わります。
自家用車での移動
最も一般的で、ペットの負担も少ない方法です。
- 必ずキャリーケースやクレートに入れる(車内での放し飼いは道路交通法違反になる場合も)
- 1〜2時間ごとに休憩を取り、水分補給をする
- 車内の温度管理に注意(特に夏場)
- 車酔いしやすい子は、事前にかかりつけ医に相談
電車での移動
多くの鉄道会社では、小型のペットを手回り品として持ち込めます。
- JR:縦・横・高さの合計が120cm以内、重さ10kg以内のケースに入れる。手回り品料金290円
- 私鉄・地下鉄:各社のルールを事前に確認
- 顔や体の一部が出るキャリーはNG(完全に収納できるものを使用)
飛行機での移動
長距離の引っ越しでは飛行機を使う場合もあります。ペットは貨物室(受託手荷物扱い)で輸送されます。
- 航空会社指定のクレートが必要
- 短頭種(パグ、ブルドッグ等)は受け入れ不可の航空会社が多い
- 夏季(6〜9月)は預かり制限がある場合がある
- 料金は片道3,000〜6,000円程度(サイズによる)
ペット輸送専門業者
大型犬や多頭飼い、長距離移動の場合はペット輸送の専門業者の利用がおすすめです。空調付きの専用車両でドア・ツー・ドアの輸送を行ってくれます。料金は距離や動物の種類・サイズによりますが、目安は以下の通りです。
| 距離 | 小型犬・猫 | 大型犬 |
|---|---|---|
| 同一県内 | 10,000〜20,000円 | 15,000〜30,000円 |
| 隣接県 | 20,000〜35,000円 | 30,000〜50,000円 |
| 長距離(東京→大阪等) | 30,000〜50,000円 | 50,000〜80,000円 |
6. ストレスを減らす引っ越しのコツ
引っ越し前にやっておくこと
- クレートトレーニング:普段からクレートに慣れさせておく。中でおやつを食べさせるなど「安心できる場所」にする
- かかりつけ医に相談:持病がある場合は、移動時の注意点や薬の準備を確認。ストレスが強い子には軽い鎮静剤が処方されることも
- 新居近くの動物病院をリサーチ:緊急時に慌てないよう、事前に場所と診療時間を確認
引っ越し当日のポイント
- 作業中はペットを別室か預けておく(騒音と人の出入りが大きなストレス)
- ドアの開閉が多いため脱走に注意
- 使い慣れたおもちゃ、毛布、食器は最後に梱包し、新居で最初に出す
- フードと水は移動中も常にアクセスできるように
引っ越し後の環境づくり
- 最初は1部屋だけ開放し、徐々に範囲を広げる
- トイレの場所は最初にしっかり教える
- 2〜3日は食欲が落ちることがある。無理に食べさせず様子を見る
- 1週間以上食べない・元気がない場合は動物病院へ
7. ペット可物件の探し方
ペットと暮らせる物件探しにはコツがあります。「ペット可」の条件だけで探すと選択肢が限られるため、以下のポイントを押さえましょう。
「ペット可」と「ペット共生型」の違い
- ペット可:もともとペット不可だったが後から許可したもの。設備がペット向けではない場合が多い
- ペット共生型:最初からペットとの暮らしを想定して設計。足洗い場、防音床、傷つきにくい壁材などが整備されている
物件選びのチェックポイント
- 飼育可能な種類・サイズ・頭数の制限を確認
- 敷金の追加がいくらか(ペット飼育の場合、敷金+1ヶ月が相場)
- 退去時の原状回復の範囲を契約前に確認
- 近隣に散歩コースや公園があるか
- 近くに動物病院があるか
※ 本記事の情報は2026年9月時点のものです。手続きの詳細は各自治体・事業者の公式サイトでご確認ください。