1. 保育園の入園は「住んでいる市区町村」が決める
認可保育園や認定こども園(保育の利用)に子どもを預けるには、市区町村から「教育・保育給付認定」(保育が必要だという認定)を受ける必要があります。子ども・子育て支援法では、この認定は保護者が住んでいる市町村が行うと決めています(第20条)。
さらに、認定を受けた保護者がほかの市町村に住所を移したときは、認定をした市町村はその認定を取り消すことができるとしています(第24条第1項第2号)。つまり、市外へ引っ越すと、引っ越し先の市区町村であらためて認定を受けることが基本になります。
- 認定:保育が必要かどうか、どのくらいの時間が必要かを市区町村が認めること。就労(仕事)、妊娠・出産、求職活動などの理由が必要
- 利用調整:申し込んだ人の家庭の状況をもとに、市区町村がどの園に入れるかを決めること(選考)
- 広域利用(広域入所):住んでいる市区町村とは別の市区町村の保育園を利用すること
2. 市外へ引っ越すとき:今の園に通い続けられる?
市外へ引っ越したあとも今の保育園に通い続けられるかどうかは、市区町村によって違います。公式の案内の例を紹介します。
| 市区町村 | 市外へ引っ越したあとの今の園(公式の案内) |
|---|---|
| 東京都中央区 | 転出した年度の末日までは在園できる(転園の申し込みはできない)。次の年度以降は、保護者のどちらかが中央区に通勤・通学していて、子どもが私立の認可保育所・認定こども園の3〜5歳児クラスにいる場合に限る。転出先で認定を受ける手続きをしないと退園になる |
| 東京都大田区 | 区内の認可保育園などに通っている場合は、区外へ転出したあとも通園を続けられる。ただし、大田区に「転出・退園届」を出したうえで、転出先の自治体で別に手続きが必要 |
| 岡山市 | ほかの市区町村の認可保育園を使えるのは、保護者がその市区町村に通勤・通学している場合や、出産のための里帰りの場合など。両方の市区町村の協議で利用できるかが決まる |
| 福井市 | 市外へ転出する予定があり、転出後も今の園を利用したい場合は、事前に福井市こども保育課と転出先の市町村の担当課に連絡する |
今の園に通い続ける場合も、引っ越し先の市区町村での手続きは必要です。中央区は、転出した日の前日が属する月の末日までに、転出先の自治体に申し込むよう案内しています。横浜市は、市外へ転居するときは、転居後も同じ園を利用する場合でも「認定取消・利用取消申請書」を出すとしています。どの書類をいつまでに出すかは市区町村によって違うので、早めに確かめましょう。
3. 引っ越し先の保育園に申し込む
引っ越す前でも申し込める
多くの市区町村では、引っ越す前でも「転入予定」として引っ越し先の保育園に申し込めます。福井市は、現在市外に住んでいる人でも、福井市に転入する予定なら入園の申し込みができるとしています。そのかわり、決められた日までに転入することが条件です。
| 市区町村 | 転入予定で申し込むときの条件(公式の案内) |
|---|---|
| 福井市 | 「転入に関する誓約書」を出し、入園希望月の前月の末日(4月入園は指定の期日)までに転入する。家を買う・借りる場合は売買契約書か賃貸借契約書の写しをつける。転入しなかった場合は入園の内定が取り消される |
| 東京都中央区 | 利用を希望する月の前月末までに転入することが条件。転入届を出したら、その日のうちに保育課で手続きする |
転入予定の申し込みの窓口は、引っ越し先の市区町村に直接出すところもあれば、今住んでいる市区町村を通して出すところもあります。引っ越し先の市区町村の保育の担当課のページで確かめましょう。
引っ越し先で必要になりやすい書類
- 入園の申込書(教育・保育給付認定申請書など)
- 保育が必要な理由を証明する書類(就労証明書など)
- 転入に関する誓約書と、売買契約書・賃貸借契約書の写し(転入予定の場合)
- 保育料を決めるための住民税の書類(課税証明書など)
福井市は、保護者がその年の1月1日に福井市に住んでいなかった場合は、市民税の決定通知書や課税証明書を出すよう案内しています。課税証明書は1月1日に住んでいた市区町村で取ります。取り方は「引っ越した後の課税証明書はどこで取る?」で解説しています。
4. 4月入園と年度途中の入園の違い
保育園の入園は、4月の新年度に入る「4月入園」と、5月以降に入る「年度途中の入園」で、申し込みの時期が大きく違います。福井市の例で見てみましょう。
| 入園の時期 | 福井市の申し込み(令和9年度・令和8年度の案内) |
|---|---|
| 4月入園 | 前の年の10月に受け付け(令和9年4月入園は2026年10月1日〜10月20日)。期間のあとも12月ごろまで「期間後の申込」を受け付けるが、期間内の申込者の入園先が決まってからの調整になる。市外の人は令和9年3月19日までに福井市に転入している必要がある |
| 年度途中の入園(5月〜2月) | こども保育課に「途中入園相談シート」を出す。毎月末で締め切り、翌月に利用調整。就労が理由の場合は入園希望月の6か月前から2か月前まで、就労以外は3か月前から2か月前までに出す |
福井市は、年度途中の入園は4月入園より受け入れできる枠が少なく、年度の後半になるほど案内が難しくなると説明しています。また、4月から転園する場合は、今の園は3月末で退園になり、希望の園に入れなかったときに元の園に戻れないこともあるとしています。
申し込みの時期や締め切りは市区町村によって違います。たとえば東京都の板橋区は2026年10月1日〜10月23日、杉並区は10月1日〜11月30日を4月入園の一次申し込みの期間としています。4月に引っ越すなら、前の年の秋には引っ越し先の受付期間を確かめておくと安心です。
5. 同じ市内で引っ越すとき
同じ市区町村の中で引っ越す場合は、認定はそのままで、住所の変更の届けを出すのが基本です。横浜市は「認定変更申請書」を出すとしています。福井市も、市内での転居は園に伝えて変更の申請をするよう案内していて、申請は園を通して行います。
新しい家の近くの園に移りたい場合は、新しく入園するときと同じように申し込みが必要です。福井市は、年度途中の転園は途中入園の申し込みになると案内しています。そのうえで、年度途中は枠が少ないため、次のような方法も検討するようすすめています。
- あらかじめ、引っ越し先の近くの園に申し込んでおく
- 翌年の3月までは今の園に通い、次の年度の4月入園で引っ越し先の近くの園に申し込む
6. 保育料はどうなる?
こども家庭庁の「幼児教育・保育の無償化」により、2019年10月から、3〜5歳児の幼稚園・保育所・認定こども園などの利用料は無料です。0〜2歳児は、住民税非課税世帯の子どもが無料の対象です。
0〜2歳児の保育料は、住民税の額などをもとに市区町村ごとに決まるため、引っ越すと金額が変わることがあります。引っ越し先の市区町村の保育料の表を確かめておきましょう。給食の副食費(おかず代)の扱いも市区町村によって違うので、あわせて確認すると安心です。
小学校・中学校の転校や、幼稚園の転園の手続きは「引っ越し時の子供の転校手続き」で解説しています。
7. 引っ越しまでの段取り
引越ナビの目安として、保育園の手続きは次の順番で進めると、もれが少なくなります。
| 時期(目安) | やること |
|---|---|
| 引っ越しが決まったら | 今の市区町村と引っ越し先の市区町村の保育の担当課に、今の園に通い続けられるか、転園の申し込みの時期と締め切りを確かめる |
| 申し込みの締め切りまで | 引っ越し先の園の見学をして、就労証明書などの書類をそろえて申し込む(転入予定なら誓約書・契約書の写しも) |
| 転園先が決まってから | 今の園と市区町村に、退園や認定の取り消しの届けを出す |
| 引っ越したあと | 転入届を出し、引っ越し先の市区町村で認定などの手続きを期限までにする |
転入届と一緒に、児童手当や子どもの医療費助成の手続きもすることが多いです。転入届の出し方は「転出届・転入届・転居届の出し方」で解説しています。
8. よくある質問(FAQ)
- Q. 市外に引っ越しても今の保育園に通える?
- A. 市区町村によって違います。東京都大田区は区外へ転出したあとも通園を続けられるとしていますが、転出先の自治体での手続きが必要です。中央区は転出した年度の末日までは在園できるとしています。今の市区町村と引っ越し先の市区町村の両方に確かめましょう。
- Q. 引っ越す前に引っ越し先の保育園に申し込める?
- A. 多くの市区町村で申し込めます。福井市は、転入予定の人も「転入に関する誓約書」を出せば申し込めるとしています。ただし、入園希望月の前月の末日(4月入園は指定の期日)までに転入しないと、内定が取り消されます。
- Q. 退園の届けはいつ出す?
- A. 転園先が決まってから出すのが安全です。東京都中央区は、退所届をすでに出している場合は在園を続けられないと案内しています。今の園に通い続けたい場合は、届けを出す前に市区町村に相談しましょう。
- Q. 引っ越すと保育料は変わる?
- A. 0〜2歳児の保育料は住民税の額などをもとに市区町村ごとに決まるため、変わることがあります。3〜5歳児の利用料は、幼児教育・保育の無償化で無料です。
- Q. 複数の市に入園を申し込んでもいい?
- A. 福井市は、複数の自治体に重複して入園を申し込むことはできないとしています。重複がわかった場合は入園が取り消されることがあります。
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